指首太志のきものブログ

はじめまして、指首太志(さしくびたいし)です。着物屋スタッフです。 プライベート、仕事と、少なくとも1年に300日以上は着物を着ている30歳メンズのブログになります。 ■勤め先: 博多織OKANO ■着物を着始めた年: 2016年10月 ■直近の夢: 「太志さんの投稿見て着物を着始めました!」と言われること。■葛飾生まれ葛飾育ち

メンズ浴衣を選ぶときのポイント3つ

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こんにちは

着物、浴衣を1年に300日は着るアラサー男の指首太志(さしくびたいし)です。

 

今回は浴衣を選ぶ際のポイントを3つご紹介します。

 

結論から言いますと「見た目が好きなものを選んでください

以上!

 

なんですが、どんなデザインがあって、どんな素材があって、サイズ選びのコツはこんなんで・・・と

なるべく簡単に簡潔にご紹介したいと思います。(ちょこちょこ豆知識も入れますが)

この記事がみなさんの浴衣選びのご参考になったら嬉しいです。

 

目次

 ■ポイント① デザイン(意匠/いしょう)

 ■ポイント② 素材

 ■ポイント③ 寸法(サイズ)

 ■おわりに

 

ポイント① デザイン(意匠/いしょう)*

先ほど結論でお伝えしたとおり、浴衣は見た目で選んでください!わくわくと! 

そんな事わざわざブログに書くことでもないじゃん!と思われてしまいそうなのですが、

このあと、浴衣を着物風に着ることや、素材の話しなどを紹介していく中で、

「なんか難しそう」と思ってほしくないので、ここはあえて何度も強くお伝えしときます。

難しく考えず見た目で選んでください。洋服選びと同じです。

(浴衣や着物もとって~も奥が深いので、考え出したらキリがありません。

そこがまた魅力なのですが、まずは気楽に見た目で選んでください。)

 で、実際にどんなデザインの浴衣があるのか、大きく3つにわけてご紹介します。

 

無地

紺、茶、白、赤など一色の浴衣。

なんといってもシンプルなので便利で着やすいです。

特に紺色は日本人の肌色に合いやすいので迷ったときは紺色を選べば間違いはないかと思います。もちろん他の色や、涼しそうな見た目では抜群の白色に挑戦してもいいかと思います。

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無地の浴衣(素材は麻)

■縞:江戸で流行した「粋」な紋様

細くこまかいものから太く様々な色を組み合わせた縞まで、縞と言っても種類は豊富です。細かな縞は遠目に見ると無地に見えるものもあります。

(もともと南方の島国から伝わってきた紋様で、島渡りの紋様→「シマ」紋様と呼ばれるようになったそうです)

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縞の浴衣(素材は木綿)

■柄物:花、麻の葉、トンボ、市松・・・など色柄は豊富にあります。

メンズの着物はレディースに比べると圧倒的にシックなものが多いですが、浴衣はメンズでも遊び心満載なデザインが多いです。夏ってやっぱりどこか解放的な気分になりますし、思い切ったデザインで遊ぶのもいいかと思います。

(私も着物はシックなコーディネートが多いですが、浴衣は少し派手に遊ぶこともあります。)

また、日本の紋様には素敵な意味合いが込められてます

例えば、

「麻の葉」は魔除け、健康

「亀甲」は長寿

「青海波」は宇宙や神の霊波をあらわし、縁起がいい

などなど・・・

そんな意味合いを知った上で選んでも楽しいですね。

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幾何学模様の浴衣(素材は木綿)

ここで少し話しが発展しますが、最近は9月~10月初旬のまだまだ残暑が厳しい頃に着る「秋浴衣」なんて文化が生まれてきました。

シンプルな浴衣は中に襦袢*を着て、浴衣を着物風に着ることもできちゃいます。

また、派手な浴衣をシンプルな浴衣や着物の下に着て、ちょい見せ!なんてスタイルもあります。

(他にも浴衣のいろんな着方がありますので、また今度紹介できたらと思います)

 

シックな浴衣、派手な浴衣、どちらを買っても次の着物スタイルに活かせちゃいます。

どうぞ直観で好きなデザインを選んでください。心がワクワクするほうを是非!

(浴衣デビューの次は着物デビューして頂きたく、勝手に秋のスタイルを見越した提案をしております。)

 

*襦袢:着物の下に着るインナー。着物と同じような形をしてます。

着物と同じように肩から足までの長さがある長襦袢

肩から腰までの長さの半襦袢

衿だけ襦袢のような形をしたTシャツ襦袢などもあります。

 

*意匠:着物の世界ではデザインのことを意匠と呼びます。着物屋で店員さんが 「意匠」と言ったらデザインのことだなと思って頂いて大丈夫です。

 

ポイント② 素材

浴衣の素材のルーツは木綿です。浴衣のルーツは平安時代に入浴の際に着られていた湯帷子(ゆかたびら)、つまり入浴着だったのです。

時代が進み、入浴後のバスローブのような着方になり、

江戸時代には夕涼み時のちょい外出着にも着られるようになりました。

そして現代では花火大会、夏祭りの定番になってますね。

 現代の浴衣は木綿の他にも麻や綿麻、化繊など素材も様々です。

それぞれの素材にはどんな特徴があるかご紹介します。

 

■木綿

浴衣の定番。洋服のTシャツやデニムも木綿ですので、私達にとってはとても馴染み深い素材ですね。

メリット

・比較的安価(コーマ地、紅梅、絞りなど、お高めの生地もあります。)

・麻より風合いが柔らかい

・家で洗えます

デメリット

・洗うと多少縮む

・シワはできる

・麻と比べると暑い

 

■麻

ザラっと、さらっとした「シャリ感」が特徴。汗をかいても乾きやすく、

風が通る涼しさは格別。

メリット

・涼しい!(見た目も、着心地も)

・すぐ乾く!

・基本は家で洗えます(高級な麻の着物はプロにまかせるのが無難)

デメリット

・木綿に比べるとお値段がお高め

・シワができやすい(しかし通の間では「麻はシワ感を楽しむもの」なんて言われます)

・麻100%だと透けるので、襦袢などのインナーが必要かも

・木綿ほどではないが、洗うと多少縮む

 

■綿麻

木綿と麻のハイブリット。木綿と麻のいいとこどり!

(私は綿麻の浴衣をよく着ます)

メリット

・木綿のやわらかさと麻のシャリ感の両方を兼ね備えている。

・麻100%のものよりはお値段お安め

・あまり透けない

デメリット

・洗うと多少縮む

・涼しさだけで言うと麻100%には勝てない

※木綿と麻の割合によって特徴は変化します。木綿70%、麻30%や木綿も麻も50%などの割合が一般的です)

 

■化繊(ポリエステル)

一昔前までは「化繊は蒸れる!見た目が安っぽい!」と悪者のように嫌われてました。

しかし!最近はテクノロジーの進化(東レさんの企業努力)で着心地よく、見た目もいい化繊浴衣も増えてきました

その代表格が東レの「セオα」です。

また、先述の天然素材はほっこりとした、「The和」のような雰囲気が持ち味ですが、化繊の場合は光沢感、ツヤ感がありモダンなデザインとの相性がいいです。

メリット

・洗濯しても縮まない!

・サラサラした着心地

・生地感がモダンなデザインと相性いい

デメリット

・汗をかいた時に肌にペタペタ貼りつく感がある

(↑新素材の登場で改善されてきました。)

 

素材はあくまで、浴衣を選ぶ際の参考程度に頭の片隅に置いといてもらえばと思います。

私もはじめて着物、浴衣を選ぶときは店員さんに色々と教わったのですが、

なんでやたら素材の話をすんだろう?と不思議に思いました。

洋服を選ぶときって見た目、デザインで買って、着て、洗濯するときにはじめて素材を確認する程度ですよね。(私は洗濯するときすら確認してませんでした・・・)

 

浴衣や着物が素材を重視する理由は、

洋服と違って、形は基本同じなので素材の違いで楽しむ。

大きな布をまとうように着るので、素材が着心地に与える影響が大きい。

この2つだと思います。

 

また同じ素材でも織り方や特殊な加工で変化をつけた生地もあります。

浴衣だと「しじら織」なんかが有名です。(洋服の生地で言うシアサッカー)

生地の表面に細かな凹凸があって、肌に触れる面積が少ないので夏に快適です。

 

他にも綿紅梅、絞りなどいろいろありますが、

最初は深く考えず、まずは見た目で選んでもらえたらいいと思います。

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僕の浴衣を少しご紹介します

 

ポイント③ 寸法(サイズ)

 プレタ*の浴衣を購入する場合、押さえるべきサイズのポイントは1つ

「身丈で選ぶ」です。

(*プレタ:プレタポルテの略/マイサイズにオーダーメイドするのではなくて、すでに仕立てあがっているもの)

 

身丈の目安はあなたの身長-27㎝です。私の身長は164㎝なので身丈は137cmが目安になります。

ぴったし身丈137㎝の浴衣が売っていればいいのですが、

Sサイズの身丈は135㎝、Mサイズの身丈が140㎝なんて場合もたびたびあります。

そんなとき私は自分の身丈より長いMサイズを選びます。

身丈が短いのはどうしようもできないですが、長いのは着方次第で調整できます!

 

試着したときの目安は

帯を締めずに浴衣を羽織った状態で、床に触れるか触れないかの長さ

帯を締めた状態で、足のくるぶしが隠れるか隠れないかの長さ

 

もちろん浴衣も洋服と同じで、裄丈(肩と腕の長さ)、身巾などの細かな寸法があります。

欲を言えばすべての寸法が自分にぴったしな浴衣が欲しいと思いますよね。

でもプレタでそれを実現するのは難しいんです・・・

 

でも、自分に適した身丈の浴衣を選べば、裄丈や身巾が極端に長い、短いってことはほぼないです。

プレタ浴衣は万人が(ぽっちゃり体型、ムキムキマッチョでも)着れるように

身巾が広めにつくられてます。

(痩せ形の私からするともう少し身巾を狭くしてほしいなって思いますが)

しかし、身巾が広いぶんにも、着方の工夫である程度綺麗に着れちゃいます。

 

ちなみに裄丈の理想は手首のグリグリが隠れるぐらいの長さですが、多少長い、短いはそこまで神経質になる必要はないかと思います。

 

もともと着物も浴衣も大きな布で体を包むように着るものなので、着方である程度はカバーできちゃいます。

 

着慣れてくると、身巾をもっと狭くしたい、裄をもう少しだけ長くしたいなどのこだわりが生まれてくるかもしれません。

そしたらマイサイズのオーダーメイド「お誂え」をしちゃいましょう!

(こだわりはじめると奥が深いです。とても。そしてマイサイズの浴衣は着やすいです。とても。)

 

ちなみに、

夏の浴衣は身丈や裄が多少短くても、涼しそうに見えるのでアリだと思います。

しかし、短いのは「幼い印象」になることは頭の中に入れておいてください。

洋服の半袖、短パンコーデがどうしても幼く見えてしまうのと同じです。

丈の長さは好みですが、短すぎるモノはオススメしません。

 

復習ですが、浴衣のサイズを選ぶポイントは自分にあった身丈を選ぶ。

自分に合う身丈の目安は身長-27㎝です。

(身丈が長い浴衣、身巾が長い浴衣の上手な着方に関してはまた今度別の記事でご紹介できたらと思います。)

 

おわりに

 今回は浴衣選びのポイントを3つに絞ってご紹介しました。

・デザインは好きなものを選ぶ(自分がわくわくするもの)

・素材はいろいろあり、それぞれ特徴があるけどまずは見た目で選ぶ

・サイズは自分にあった身丈を選ぶ(自分に合う身丈の目安は身長-27㎝です)

 

この生地を読んでいて、はじめて聞く単語や、さらなる疑問が生まれたかと思いますが、今回は深くは言及しません。

私もこの記事を書いていて、どこまで書くのがいいのか、ここは伝えたいが、この単語を使うと話がややこしくなるよな・・・などと、とても悩みました。

で、今回は浴衣を選ぶときの最初の読みものとしてなるべく簡単に簡潔に書くよう心がけました(どうしても補足や脱線が増えてしまいましたが・・・)

 

今後も、さらに踏み込んだ情報や、みなさんの疑問にお答えできるような記事を

書いていけたらと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

TAISHI